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2009年10月07日

五条天神社・氏子祭2009

 
西洞院通松原に鎮座する”五条天神社(天使社)”の「氏子祭」が、
10月12日(月・祝)に行われる。
現在、毎年10月の第二月曜日と定められている。

神社の神事としての「例祭」が5月10日に行われるため、
剣鉾が出される"氏子祭"を"春の例祭"と混同してしまうが、
剣鉾の出るのは"秋の氏子祭"である。

五条天神社・氏子祭2009


画像の通り、現在は氏子献饌が午前8時から行われるが、
元々、祭礼の日の午前4時から神事が執り行われていた。
五条天神さんでお聞きした話だが、
昔(戦前か?)、早朝のまだ暗い道を篝火で照らしながら、氏子は神社に参集していたという。

五条天神社・氏子祭2009


剣鉾は、氏子町内で「菊鉾」と「扇鉾」の2基が守護されている。
2基とも"招き"は長く、金錺りも立派な鉾である。
鉾を差しての巡幸が、いつの頃迄行われていたかはまだ不明であるが、
その当時は、澄んだ鈴の音を鳴らしながら、
大きくしならせた招きを輝かせて巡幸していたものと思われる。

氏子町は、永養寺町と高辻西洞院町の二ヶ町である。
すぐ近くの菅大臣神社の氏子町もそうだが、
祇園祭に太子山・岩戸山・船鉾などの山鉾を出す町内と隣接している。
当然、生活圏も祇園祭の氏子圏と同一である。

生活圏が一緒だということは、
有名だから知っているというような他人レベルのつながりではなく、
お互いに子供の頃からよく知っていて、
親兄弟何代にも渡って付き合いがあるという、親族に準ずる様なつながりである。

そういうコミュニティ環境の中で、剣鉾を出す祭礼の形を伝承し続けてくるというのは、
どういう状況だったのだろうか。
否が応でも、超有名な祇園祭の影響を受ける環境にあって、
地元の人たちの、神社やお祭りに掛ける思いや意気込み、
また取り組み方などがどんなものだったのか。
垣間見ることができる資料などがあれば見たいものだ。

近年、剣鉾の当家飾りも本祭当日のみの短時間であると聞いているが、
現状は確認できていない。

今年のお祭りを見に行く機会のある方は、是非情報をお願いしたい。

五条天神社・氏子祭2009






Posted by どせうの寝床 at 02:59│Comments(6)五条天神社
この記事へのコメント
こんにちは。kenichsbergです。

小生もあちこち秋祭りを見に行っています。
剣鉾だけではないので、あまり報告するものがありませんでしたが、こちらの情報をいただいて、12日の午前に少しだけ五条天神社にお邪魔してきました。

剣鉾の当家飾りは、菊の鉾が永養寺町で、扇の鉾が高辻西洞院町で行われていました。他に神社のある天神前町も氏子町だそうです。今の祭りは神輿が出るわけではなく、もちろん剣鉾を差したり担いだりすることもありません。

興味深かったのは当家の方のお話。「このあたりは祇園さんの氏子でもあるので、祇園祭もしますが、それは「もらい祭」といった感じで、こちらの祭の方が「本祭」」とのことです。「もらい祭」という表現は面白いですね。

ここから先は小生の憶測ですが、氏子3町が五条天神社の祭りを催して剣鉾を新調したというのは、祇園の山鉾町への対抗というか、町としての独自アイデンティティーの強化といったものではなかったでしょうか。隣では派手な山鉾を出しているのだから、自分たちにもそれなりの祭りとシンボルがほしいといったような・・・今宮祭りの氏子区域の中にある晴明神社の氏子町が剣鉾を持っているのも同じような理由ではないかと推測しています。
ただ、残念ながらそれを証明する記録がないのですが・・・

長くなって恐縮ですが、このあたりで失礼いたします。
Posted by kenichsberg at 2009年10月14日 16:07
書き忘れましたが、小生のホームページからも貴ブログをリンクさせていただきました(ここ数年全く更新していませんけど)。

今後ともよろしくお願い申し上げます。
Posted by kenichsberg at 2009年10月14日 16:09
kenichsbergさん、ご無沙汰してます。
五条天神社に行っていただけましたか。
リポートありがとうございます。
氏子町は、天神前町も含まれるんですね。
これで、ちょっと合点が行きました。
永養寺町も高辻西洞院町も、神社から離れているので、
宮本が氏子町ではないというのは、どうなんだろうと思っていたのです。
五条天神社は、組織の規模や厳粛さの度合いは判然としませんが、
宮座があったとのことです。
序列はあったと思いますが、持家・借家の区別はなく入っていたらしいです。

それから、「もらい祭」という表現は面白いですね。
京都市内には、2社3社と氏子区域が重なっていることは、結構普通にあって、
京都の人は、それを日常の暮らしの中で、ごく自然にお祀りしていますよね。
これは、なかなかいいお話ですね。

>祇園の山鉾町への対抗というか、町としての独自アイデンティティーの強化といった・・・
同感ですね。
対抗意識はあったと思いますね。
しかし相手は、天下の祇園祭です。
町衆の発言力や財力も半端ではなかったでしょうからね。
この2基の剣鉾が、どういう御寄進を受けているかがわかれば、その辺りをちょっと垣間見ることができるかもしれません。
おそらく宮家や御門跡からのものではないかと思うのですが。
菊鉾があることが、その証拠ですね。

ところで、剣鉾は各町で当家飾りがされていたとのことですが、
神輿は飾られていましたか。
神輿があるのかどうかも知らないので、一度行く機会ができればありがたいのですが、10月第2土日曜は超困難です。


kenichsbergさんのHPでリンク貼っていただきありがとうございます。
また今後とも、情報宜しくお願いします。
Posted by どぜうの寝床 at 2009年10月14日 20:56
どぜうの寝床さま

こんにちは、kenichsbergです。返事遅れましたが、小生のレポートをいくつかご報告いたします。

まず五条天神社の祭ですが、うっかりしていて神輿について確認するのを失念していました。巡幸がないことは聞いたのですが、今神輿がどうなっているのか、そもそも神輿自体があるのかなどよくわかりません。目に付かなかったことは確かなので、今後機会があれば確認したいと思います。

次に10/20に行われた亀岡市の請田神社の祭(いわゆる保津の火祭り)でも剣鉾がありました! 全部で4基、長さは3mほど、飾りは暗くてよくわかりませんでした。それほど長くないので、鉾差しはしないようですが、2人で捧げ持つようにして、花笠や高張提灯などと一緒に神社と御旅所の間を行列・往復するようです。

他にも京都周辺の祭には、鉾差しをしないような小さい剣鉾なら、まだあるように思われます。なんとか全部解明したいものですね。

長くなりましたが、このあたりで失礼いたします。
Posted by kenichsberg at 2009年10月27日 19:28
kenichsbergさま

またまた追補リポートありがとうございます。

>まず五条天神社の祭ですが…

やはり確認できませんでしたか。
舞殿はないですし、拝殿に出すとしても、そんなに大きな神輿は置けないでしょうしね。
ただ、剣鉾があるということは、神輿か鳳れんがあって、お渡りがおこなわれていたということでしょうね。
というのは、必ず剣鉾と神輿は対になります。下御霊神社の宮司であった出雲路通次郎氏が著者の中で、祭礼の行列に神輿と剣鉾があれば、それで神幸列は成立する、と言っておられました。つまり、その2つが必要最小限の構成要素であるということなのです。神輿があれば必ず剣鉾が…花井ですが、剣鉾があれば必ず神輿が…は九分九厘は通るでしょう。
例外的に、粟田さんの夜渡り神事の様に神輿がない場合もありますが、あれは、阿古陀鉾が神さん(感神院新宮と刻まれた金札)の寄り代として、その前を地蔵鉾が露払いする形をとった巡幸列になっています。

それで、請田神社の剣鉾の情報ですが、ありがとうございます。
あるとは聞いていましたが、小振りで4基だったんですね。その位置付けは、どんなだったですか?神輿は出ていなかったのですか?
またまたの質問攻め、ごめんなさい。

>他にも京都周辺の祭には…

いまわかる範囲で、丹波・丹後・但馬・若狭・近江にはひろく分布しています。
さらに、日光東照宮の千人行列でもみられますし、紀州東照宮は祭礼絵図で確認しましたが、現在の祭礼は?です。
日光は、江戸期に祭礼行列を作る時、全国の有名な祭りの要素を集めて考えたとのことで、その際、剣鉾も京都から伝えられ、祭礼に取り入れられたもののようです。
そもそも剣鉾自体は、祭具としては結構ポピュラーなものだろうと思いますよ。
ただ、鉾を差して巡幸する技術集団やその様式は、京都を中心に存在していて、特徴となっているということだろう思います。

私こそ、長く長くなってしまい失礼しました。
またまた宜しくお願いします。
Posted by どぜうの寝床 at 2009年10月28日 14:17
kenichsbergさま
つい先日、五条天神社さんにお伺いして、お神輿のことを伺ってきました。
やはり神輿は永らくないそうです。御本殿も江戸期の大火で消失していて、古文書などの資料もほとんど一切残っていないそうです。恐らく神輿も、その時に消失してしまったのではないか、とのことでした。
以上、ちょっとわかったことだけ報告です。
Posted by どぜうの寝床 at 2009年11月02日 08:32
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